「最近、BeBe Rumorsの更新が滞ってますね」と、落としの巨匠江口寿史氏に、ではなかった、あろうことかわが林信行氏に言われてしまった。
更新が滞っていたのは、更新をさぼっていたからである。更新をさぼっていたのは、ほかにやらねばならぬことが多かったせいもある。
その日は、三浦しをん氏と会うことになっていた。例の長篇小説がいよいよ完成し、最後の打ち合わせのために、待ち合わせた。ぼくはラッシュアワーを避けて待ち合わせの時間より早めに新宿に行った。駅近くのコンピュータ・ショップをしばらくぶらぶらし、買いたいものはとくにないな、と階段を降りようとして、林信行氏とばったり鉢合わせしたのである。
「おやまあ、これは先生、どうしたんです」
「muratさんこそ、こんなところで、何をしてるんです」
「これから三浦しをん氏と会うんですが」
林氏はこの日アップルで取材したあと、WWDCからの帰国後久しぶりに外出したので、気分転換に買い物に来たという。DVD-RAMを探すとおっしゃるので、あとをついていきながら、いろいろとおしゃべりした。
「そろそろ待ち合わせの時間ですが、せっかくですから三浦しをんさんを紹介しましょう」
「どこで会うんですか」
「ルミネの青山ブックセンターの漫画コーナーなんですがね」
「青山ブックセンターが二つあるのをご存知ですか。以前ぼくも待ち合わせして、結局会えなかったことがありました」
「ゲ! 知りません。大丈夫かなー」
事前の打ち合わせにそんな話はまったくなかったので、とりあえず一方の青山ブックセンターで待つことにする。雑誌などを見ながら、WWDCのくいっくたいむすとりーみんぐに繋がらなかったぼくの話を思い出した林氏がどうなりましたと聞くので、
「実はいまだにだめなんです。林さんは記事でスクリーンショットをとったりしてるのに、ぼくはなんでだめなのかなあ」
「もしかしてルーターを使ってます?」
「ネットボランチなんですが」
「原因はそれかもしれません。ルーターの機種によってはそのままではストリーミングに対応できないのがあるようなんです。MACPOWERの編集者でもだめだという人がいましたから」
くいっくたいむすとりーみんぐ再生に費やしている膨大な時間(いまでもことあるたびに試しているのである)を思い、頭がくらくらした。それはそうと、時間だ。待ち合わせ時間が過ぎても、待ち人は現われない。
「やはりブックセンター違いじゃないかなあ」
「こんなときのためにと、先月は120円しか使わなかったという伝説のPHSの番号を教えてもらっているんですが、ぼくは携帯もPHSももっていないんです」
「かけてみましょうか」
林氏が試すこと、二度三度。林氏の携帯(だかPHSだか)から声が聞こえる。
「あれー。来てるんですかー」
「来てるんですが、ブックセンターは二つあるらしいですよ」
「えー! 知らなかった! ではこれからそちらに向かいます!」
という次第で、林氏にも無事三浦氏を紹介でき、結果はことなきを得たのである。でも、危ないところだった。危うく、今年二月のマックワールドの二の舞いを踏むところだった。
それにしても、ぼくの場合、待ち合わせのたびに事件の起こる確率が異常に高くないか。マックワールドでは、携帯がないために、会えなかった。内藤美和氏とのときは、男とばかり思い込んでいた新人作家が会ってみたら女性で、驚愕させられた。そして、今回の「ルミネに二つの青山ブックセンター」事件である。
これらの事件は、打ち合わせにも携帯(もしくはPHS)持参は、いまやビジネス・インフラになったということを物語るのだろうか。
それとも、単にぼくが大雑把であることの証にすぎなかったりして。携帯(もしくはPHS)どうしよーかなー。