Boiled Eggs をめぐって
展開するあらぬウワサ…

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11月20日土曜日

仕事が一段落したので、久しぶりに銀座まで出かけた。手帳を買うためである。手帳、買いませんか、この時期? ぼくはここ10年ほどシステム手帳を使っているのだが、気にいったものがない。どれも帯に短したすきに長しなのだ。「理想の手帳」を求めて、今年も伊東屋に行った。

ぼくの理想とする手帳とは、当然ながら、すべてが備わってなければならない。過不足があってはならないのである。まず、表は上質の柔らかい牛革。これは手触りと耐久性の問題だ。サイズはA5判。ノートとしても使うので、これ以下のサイズだと使いにくい。これ以上だと、使ってみれば明白だが、単に大きすぎる。重すぎる。ときに太字の万年筆を使うこともあり、A5判がベストだと思う。

重要なのはスケジュール表だ。見開きで、できれば1カ月。1週間や2週間でもよいが、1日分のスペースはあくまで横書きでなければならない。1週間や2週間だと、これがレイアウトの関係か、どうしても横長になり、余計なスペースができるか、それを防ごうとして時間単位のメモリをふるので、縦書きになってしまう。手帳に縦書きを要求するのは間違っている。

さらにさらに重要なのは、スケジュール表には必ず六曜が記されてなければならないということである。大安とか仏滅とか、のあれですね。なぜかといえば、原稿の締切を大安に設定するからだ。なんで? といわれても(いわれたことはないが)困るが、そうしているのである。ぼくは20代のころから、なぜかお葬式が多かった。六曜をチェックする習慣はそのころについたようだ。だから、デザインとしては外国の手帳にいいのがあるのだが、使えない。六曜をスケジュール表と分離させている手帳もあるが、それも煩雑で意味がない。

もうひとつの問題は、アドレス帳。というより、電話帳か。これを毎年書き写すのは時間の無駄だから、同じものを使いたい。とすると、システム手帳方式にする以外にないのである。もちろんアドレスも電話番号もコンピュータの管理下にはあるが、アドレス帳のためだけにPowerBookを持ち歩くのはばかげているし、かといって、移動用の機械(ことばが嫌いなので書かない)でというのも、使い勝手の問題で好きではない。電話番号だけの問題なら、ええ、携帯やらPHSやらで用が足りるのはわからぬでもなし、なのだが、いまだに持っていないんです。

というわけで、以上の条件をすべて満たす「理想の手帳」は、はたして伊東屋に入荷しているであろうか。今年こそ入荷しているに違いない。伊東屋なんだから。という思いで、毎年のぞきに行くのだが、今年も、はずれた。

はずれただけではない。伊東屋の前に、ぼくは実は吉祥寺でも、「理想の手帳」を探しているのである。今年どういう手帳が出ているかはそのときおおまかに把握した。ところが、伊東屋まで行っても、手帳の種類は似たり寄ったりだったのだ。外国製品を除くと。

これにはショックを受けた。ヴァリエーションが少なすぎる。小一時間、ああでもないこうでもないを繰り返した後、その事実に愕然として、ぼくは伊東屋を後にした。それでもまだわが目を信じられず、もう一軒、銀座で別の文房具屋を当たったが、結果は上記の事実の上塗りにすぎなかった。

いまはBindexという製品(BinHexとは関係ない)を使っているのだが、紙が厚くて持ち重りがするなどいろいろと不満がある。でも、この状況からすると、来年も同じ製品を使わざるを得ないのかもしれない。ミレニアムがそんなに偉くありがたいものなら、それにふさわしい手帳ぐらい、人類の英知を結集して作れないものなのか。

そういえば、どの店にもないものがあった。しばらく前に話題になった野口悠紀雄の手帳はどうなったのだろう。

(murat)

 
 
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