Boiled Eggs をめぐって
展開するあらぬウワサ…

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特集! 私の年末年始

 Boiled Eggs Online執筆者近況リポートの第3弾である。師走の忙しい時期になにをのんきなことをと、毎度のことながら執筆陣の顰蹙を買う企画だが、それでも届いた近況報告。順に紹介しよう。

 

合木こずえ氏:

4年前の12月、FROM EASTを発足させた意気込みで、「来年は年越し上映をやろう」などと口走っていた私だが、「ここは信州の田舎町、都会じゃあるまいし、大晦日は皆こたつに入って紅白を見ている」ことに気づいてからは、上映会も上旬にすませてしまうことにした。

うちの映画館は31日の夕方早めに閉めて1日は昼からの上映となる。しかし今年の私は家の手伝いもせず、思いきって年末年始を異国で過ごすのだ。2000年問題など何のその、頭の中をからっぽにするために、心のあかを落とすために、ネパールひとり旅を決意した。

2週間、何の計画も立てずに行き当たりばったりの放浪生活をするつもりだが、果たして都会型人間の私が、ひとりぼっちの貧困生活に耐えられるのか、不安は尽きないがどうにかなるだろう。未知なる世界を覗き見て、好奇心を膨らませてくるつもりだ。


 

林信行氏:

「アップルコンフィデンシャル」の仕事を終えてから、風邪をひき、ためにためていた雑誌の仕事に追われてでおおわらわ(毎度のことですが)。

ちなみに「アップルコンフィデンシャル」とは以前、「Apple ここだけの話」「アップル極秘ファイル」として紹介したオーウェン・リンツメイヤー氏の著書です。アスキーから、クリスマスに発売になります。

年末の目標は、クリスマス前に「ここだけの話」を1回分、年始までにもう1回分書くこと。そして、年始の目標は、MACWORLD EXPO/SAN FRANCISCO 2000をしっかりと取材すること……なんか他の年と変わりないや……

そういえば1000年に1度のお正月なんでしたっけ? 何か最近、あまりにも淡々と月日が流れてしまいよくない。ということで、奮発して3年に1度の大掃除をすることにします。


 

内藤美和氏:

12月20日。金沢美術工芸大学に「滞在して制作」(これを「アーティスト・イン・レジデンス」と呼ぶのですが)していたイギリス人アーティスト、アーニャ・ガラッツィオの野外作品が完成したという知らせを前日に受けて、わくわくしながら名古屋から朝早い高速バスに乗って金沢へ作品を見にいきました。

しかし、なんの因果か、着いた金沢は一面の銀世界で、目当ての作品は雪の下。北陸なのに12月の下旬に野外制作をプランニングしてしまう関係者一同、たいへんにうかつだと思う。でも、天候を確認せずに金沢に直行した私が一番うっかりものかもしれません。

アーニャに紹介してもらったのはいいのですが、わざわざ遠くから来て肝心の作品が雪の下、という不運にみまわれた私に向かって彼女は気の毒そうにひとこと「ウープ」と言いました。「ご愁傷様です」というやつなのでしょう。

一方、私が金沢で雪に埋もれながら凍えていたちょうどその時刻、私の仕事の相棒は千葉の美術館のぬくぬくとした展示室(推定)で、アメリカ人アーティスト、ジョセフ・コスースと名刺交換なんかしていたらしいです。ちぇ〜っ、私だってコスースに会いたかったのよぉ! けっこうファンなんだから。オープニングの招待状を握り締めて前日まで金沢に行こうか、千葉に行こうか、さんざん迷ったあげくに私が選んだのが金沢だったわ。ええ、私ってそういう人間なのよ。しくしくしく。

今年最後のアートな出張はこんな結末でした。でもまぁ、絵葉書でおなじみの兼六園の雪つりを遠目に見られたからよしとするかっ。 22日には本年最後の展覧会のオープニング・パーティーにでかけました。これで年内のアート関連行事はすべて終了。

年内は地下活動(正式業務ではないアルバイト)である美術関係のカタログのデータ入力作業を地味に行う予定です。あとは1月10日くらいまで美術業界は冬休みに突入してしまうので、私も年の瀬および年始はおだやかに来年の仕事の構想を練ることにします。では、みなさま、よいお年を!


 

加藤文氏:

出不精のうえに、ひとごみが苦手で、帰省ラッシュを考えるだけで足がすくむ。しかし、実家にかわいい姪が待っている。なんとしても帰らねばなるまい。

さて、私の年末の予定は以下のとおり。

お年玉用のきれいなポチ袋を鳩居堂で買う。お土産のお菓子を資生堂パーラーで選ぶ。ピカチュウ以外のポケモンを、そらんじて描けるまで練習する。手品をひとつ憶える。

おじばか、まるだしである。もちろん、年始は姪が待つ実家で過ごす。

今年の夏は、執筆中の原稿と資料数冊を持って帰省した。布団に寝そべって原稿を読んでいたら、姪がドアの隙間から部屋の中を覗いた。「遊ぶのは、あとでね」と言うと、ドアが閉まる。しばらくすると、またドアが開く。何度かくりかえしたのち、彼女は言った。

「小説なんて書かなくてもいいのに……」

七歳の子供にしては、大人びた言いっぷりでどきりとした。

そういつまでも、相手にしてもらえないだろう。だから今年の正月は、精一杯、姪と遊ぼうと思う。


 

福永京美氏:

1999年から2000年へ。この歴史的なときを、またもや歴史的でない過ごし方をする。あ〜あ。

夫の実家の両親は85歳と83歳。たった一人の息子が戻ってくるのを、今日か明日かと待っている。「いつ帰ってくるの」のカエルコールがもう1日おきにかかってくるようになった。今年も例年のように、大掃除もする暇もなく、仕事納めの翌日、混雑した中央高速を走って長野に向かうだろう。

そして、私はキャリアウーマンからヨメに変身する。

紅白歌合戦も何もテレビの前に座って見ることなく、かいがいしく台所に立ち、行く年来る年の番組が始まる頃に、凍てつくような暗い道を歩いて近所のお宮に初詣するだろう。

東京の実家では、年末もお正月も特に決まった行事もなかったから、長野のしきたりの一つ一つに戸惑っていた。なんて面倒な家なのかと思っていたが、友人に聞くとどうやら東京の実家のほうが例外で、どこの家庭も盆暮れにはさまざまな行事があり、お彼岸にはお墓参りを必ずするものだという。私は東京の実家のほうのお墓がどこにあるか知らない。

両親孝行で今年も終わるだろう。

しかし、2000年から2001年にかけて21世紀を迎える年末年始は、親孝行をちょっと失礼して、と夢見ている。カレンダーを見ると、1日お休みを取るだけで、12月30日から1月9日まで豪華絢爛11連休が実現するのだ。

この長い休暇を利用して、冬のヨーロッパなんかいいなあ、常夏のカリビアン・クルーズにしようか、ハワイでのんびりゴルフ三昧か。

だが、この年末に老いた両親の喜ぶ顔を見れば、この夢を惜しげもなく捨てる気になるだろう。そろそろ帰省のときのおみやげを考えなくては。


 

三浦しをん氏:

私の年末。

大掃除のシュミレーション&おせちづくりの傾向と対策(雑誌立ち読み)。

私の年始。

初詣のシュミレーション&「2000年の恋と運勢」の傾向と対策(雑誌立ち読み)。

このように、すべてが脳内と立ち読みですませられるので、年末年始に特別やるべき事柄はありません。しかしイメージトレーニングというものが本当に有効なのだとしたら、私は年末年始のかなりのエキスパートだと思う。

12月に入ってから今日までで、おせち特集の雑誌もひととおり眺めたし、少なくとも180回は大掃除の手順について吟味した。頭の中では、着物に割烹着というスタイルで、家中にハタキをかけて床もピカピカに磨きあげてある。

まあまああなた、忙しいんですから柘榴(猫の名前)と一緒にどこかに行ってて下さいな。

家は坂の上にあって、旦那は神主兼古本屋主人で眉間にシワ寄せて苦悩してる顔してて、 子供はいなくて猫一匹。

あ、そうか。私、中禅寺秋彦(またの名を京極堂)の嫁(なんて名前だったかな)としてなら、甲斐甲斐しくお正月の準備をするんだな。

また本屋に行って、もう一度「2000年の恋と運勢」について頭にたたき込んでこなきゃ。

どうか来年こそは、浅野忠信みたいな顔で胸毛があって、拝み屋稼業で和服とかチョンマゲとか似合って、一軒家を持ってて子供が欲しいとかウザいこと言わないで、その他こまごまとした100項目ほどにピタリとかなう、素敵な男性と出会えますように。

当方、家事(のイメージトレーニング)は完璧です。


 

murat:

例年この時期はなぜか暇をもてあますのだが、今年は忙しかった。飲み会で酩酊しても、深夜仕事に励んだ。でも、酩酊状態では結局仕事にならず、朝早起きして仕事した。

ここにきて、単行本の出版企画がいくつか立て続けに決まったからだ。作家エージェントを始めて1年、というのが早いのか遅いのかはわからないが、土台ができ、柱が立ち始めたことがうれしい。馬の合う、有能な編集者諸氏と仕事ができるのも、また。

今日あたりはちと体がだるく、眠い。しかし、年末まではまだやるべき仕事がある。2000年1月1日には、長篇小説の原稿が1本入ってくることになっている。1月10日からは、本Boiled Eggs Onlineにて新連載を始める予定もある。

そんなわけで、ぼくは年末年始とはあまり関係なく、ずっと仕事をし続け、考え続けていると思う。

今年はよい執筆者に恵まれて、とても楽しく仕事ができた。来年も、ぜひそうありたい。「希望はしばしば裏切られるが、何でも楽しくやるのが一番だ」――敬愛する作家海老沢泰久氏のこの言葉が、ぼくは好きだ。

 

(murat)

 
 
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