先日「アートの冒険者たち」第2回をアップした内藤美和氏は、久しぶりに書店に出向いた。もともとたいへんな読書家の内藤氏だが、最近は読んでない本があまりに多いので、なるべく本屋を訪れないようにしていたのだった。「このところは未読の美術関係の本をやや疲れながら読んでおり、たまには別のジャンルの本をとフリーマントルの『猟鬼』(新潮文庫)を読んだら、どうもはずみがついてしまって、今日はキングの『ドロレス・クレイボーン』とディック・フランシスの『決着』を購入。今から読むのが楽しみ」とのことだ。
「たまには別のジャンルの本を」読むとはずみがつくということは、たしかによくある。自分の例で恐縮だが、ぼくは編集者時代に日本人もの海外ものを問わず、ミステリからノンフィクションまでかなり幅広い分野の作品を手がけた。でもそれは心がけてそうしたのでなく、たまたま読んだ一冊に感銘を受けてその分野にのめりこんでいくという場合が多かった。
最近、必要があって宮脇孝雄氏の『煮たり焼いたり炒めたり』(ハヤカワ文庫)を読み返したが、これが面白い。読み返したというのは、91年に世界文化社から単行本で出たときに一度読んでいたからで(タイトルは『書斎の料理人』)、そのときも感心したが、ペダンチックなところが当時は少しだけ煩わしい気もした(なにしろ引き算をすると、当時宮脇氏はまだ30代なかばだったのだから)。
不思議なことに、今回の「ディレクターズ・カット」文庫版にはそれがない。中身が大幅に変わったわけではないから、おそらくこちらが相応に加齢したということだろう。夕刻、ソファに横になってページをめくっていると、宮脇氏が家の台所に立ち、食材が並べられ、それらがそれぞれに形を変え、やがてまったく別の作品となって食卓に供される様が、眼前に髣髴と浮かんでくるのである。実際に、生つばが出てきて、おなかが鳴る(これを書いている今も、おなかが鳴った)。
昔、三島由紀夫が小説の極意は幽霊話にあると看破したが、目の前にない料理に生つばが出てくるのである。しまいにはおなかが空きすぎて先を読むのが辛くなった。小説ではないが、いかに文章に力があるかということだと思う。
この週末あたり、32ページにある不思議な料理「ケジャリー」を自分で作ってみよう。実験台になる家族は、ただはた迷惑なだけかもしれないが。
「いつものページにアクセスしたのですが、英語で何か違うページが出てしまったようです(^^; It Worked! The Apache
Web Server is Installed on this Web Site! なんてのが出ています。ウェブマスターに問い合わせろ!? なんて事が書いてあるような気がしてメールしました。現在:20日23時〜24時ぐらいです」
というメールを一昨日読者の一人からもらった。またしてもトラブル発生である。一昨日はよんどころない用事で一日外出しており、本ページをのぞいたのが夜になってからだから、上記の方と同じころトラブルに気づいた。そのときから昨日の午前中まではThe
Apache Web Server状態だったので、丸一日、砦はアパッチインディアンの急襲を受けていたことになる。
管理者からはもう二度とアパッチの襲撃は受けないと確約をもらったが、こればかりは相手のあることだし、一抹の不安が残る(原因は、サーバーのハードディスクに物理的トラブルが発生し、交換したハードディスクにバックアップサーバーからデータを戻す際に起きた設定ミスとのこと)。砦にやってきてくれた方々と執筆者には、またもや陳謝申し上げる次第。さぞや肝をつぶされたことであろう。現代日本にアパッチなんてね。
さて、内藤美和氏の新連載だが、評判がよいようだ。内藤氏のもとへは「激励メール」が続々入っているという。ぼくがそれに気をよくしたというわけでもないが、タイトルバックのデザインをこっそりと(著者にも内緒で)変更した。前デザインは現代美術のテイストとズレがある気がしていたもので。今度のがズレてないという確信もないが、多少は勉強してみましたということで、目をつぶっていただきたく。連載第2回は、順当なら来週初めにはアップされるのではなかろうか。
首尾よくレポート提出が終わった(のかどうなのか定かでない)三浦しをん氏は、今度は新しいバイト先を物色中。要英語力の会社らしいが、当人いわく、「留学経験あり、とか言っちゃおうかな。すぐバレる嘘はやめましょう(良心のツッコミ)」。小説のほうは進んでいるのでしょうか。
福永京美氏は年末から続くいくつかの同時進行プロジェクトに大忙し。
林信行氏はアメリカ取材が終わっても、次のマックワールド・ジャパンまでの間に雑誌・ムックの締め切りが目白押し。
こうしてみると、世間でいまだ正月気分がぬけきらないのは小生くらいのもんですね。先日、吉祥寺で頬が落ちるような中華料理屋を教えてもらい、うれしかった。