競争入札システムについて


Q:競争入札システムとはどのようなものですか。

A:ボイルドエッグズが日本の出版界で初めて導入したこの出版権(原稿)の獲得方式は、海外版権の売買では以前から広く行われているやり方で、ボイルドエッグズでも、海外にはこの競争入札方式で版権を売っています。

 日本国内では、ボイルドエッグズが初の試みとして、第12回ボイルドエッグズ新人賞受賞者・徳永圭の受賞後第1作と、同じく石岡琉衣の受賞後第1作にこの入札方式を取り入れました。数社による競争入札の結果、徳永圭の作品は新潮社が落札、『片桐酒店の副業』のタイトルで2012年に刊行(現在は角川文庫)、石岡琉衣の受賞後第1作も新潮社が落札、『白き隣人』のタイトルで同年に刊行されました。

 また、新人賞としては、2013年、第15回ボイルドエッグズ新人賞受賞作、尾﨑英子『あしみじおじさん』とほか1作に日本初となる競争入札が行われました。『あしみじおじさん』には複数社から応札があり、文藝春秋が落札、同年『小さいおじさん』のタイトルで刊行されました(現在は『私たちの願いは、いつも。』と改題、角川文庫)。続く第16回受賞作、小嶋陽太郎『気障でけっこうです』は2014年、角川書店が落札し、同年刊行(現在は角川文庫)。第17、18、19回は該当作なし。第20回受賞作、黒瀬陽『クルンテープマハナコーン(ry』は競争入札の結果応札なしでしたが、2018年、早川書房より刊行(『別れ際にじゃあのなんて、悲しいこと言うなや』と改題)。第21回受賞作、坪田侑也『探偵はぼっちじゃない』は2018年、KADOKAWA(角川書店)が落札し、2019年、同社より刊行(現在は角川文庫)。第22回受賞作、大石大『シャガクに訊け!』は2019年、光文社が落札し、同年刊行。第23、24回は該当作なし。第25回受賞作、遠坂八重『ドールハウスの惨劇』は2022年、複数社から応札があり、祥伝社が落札、2023年1月、同社より刊行。第26回、第27回は該当作なしでした。

 競争入札のシステムを順を追って説明します。
 
1 受賞作原稿は、まず著者とエージェントが問題点等を相談しながら、より完成度の高い作品にすべくブラッシュアップします。この改稿作業を終えた時点で(作業期間は受賞発表から1〜2カ月を予定)、入札にかけます。
2 受賞作発表と同時に、ボイルドエッグズはすでに入札参加を表明している各出版社に入札開始の予定時期を通知します。現在、入札参加を表明している出版社は下記の10社です。(50音順)

  ・KADOKAWA(角川書店)
  ・幻冬舎
  ・光文社
  ・集英社
  ・祥伝社
  ・新潮社
  ・中央公論新社
  ・早川書房
  ・文藝春秋
  ・リトルモア

3 各出版社に、完成稿テキストと出版権契約申請書(正式オファーの諸項目が書かれた申請書)を同時に送付します。これが入札の開始です。入札の締め切りは、入札開始から1カ月半程度を予定しています。
4 出版権契約申請書には主に以下の項目が含まれます。

  ・印税率
  ・予定初版部数
  ・予価
  ・判型
  ・刊行予定日
  ・契約期限
  ・改稿の有無
  ・販売戦略

5 入札の締め切り後、正式オファー(応札)として最高の条件を出した出版社が受賞作を落札します。
6 受賞作を落札した出版社(の編集者)に著者を紹介し、ただちに出版に向けての打ち合わせに入ります。
7 なお、正式オファーがどの社からもない場合、またその後出版の打診もない場合は、原則として受賞作は出版されません。残念ですが、それも作品に対するひとつの評価ですから、この点はくれぐれもご承知おきください。
8 数カ月後、受賞作は晴れて出版の運びとなります。

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