第１回ボイルドエッグズ新人賞

受賞の言葉

日向まさみち

　受賞の翌日、親友Ａの家がテンプラ火災で燃えかけ、親友Ｂの車がピザ屋のバイクに激突されました。自分は平穏無事、最高に幸せです。ありがとうございました。
　では、ごくありきたりに自己紹介を。
　――説明しよう！
　日向まさみちとはもうすぐ大学七年生の、いまどきよくいる社会放浪者だ。「誰かに雇われるのは主義に反するんでね」とクールに我が家を旅する今日も、近所のおばさんの「オタクの息子さん大丈夫なの？」という声に、「俺はオタクちゃう！」と過剰反応してしまう、なかなか元気な好青年である。
　だがそれは世を忍ぶ仮の姿。
　夜が来れば赤青黒のマーカーを手に颯爽と教壇へ立つバイト塾講師なのだ。そして重大な秘密を背負い、今夜も中学生たちに国語を教える。「女子中学生と出会うため」という社会的に抹殺されかねない理由で教師になったのは、絶対に秘密なのである。ちなみに将来の夢は「お兄ちゃん」と呼ばれることだ。
（……すんません、写真にモザイクお願いします。あ、無理ですか？）
　どうしよう。関係者にバレたら首が飛ぶ。
　しかし見てるだけで幸せだぁという人間だから犯罪的な行為は決してしない。てか、ロリコンは犯罪者っていう社会認識に異議ありだ。少女が大好きな奴に、少女を泣かせるなんてことができると思うか？　断じて否ッ！
　ロリコン＝少女の味方、つまり愛と正義の使者。テストに出ます、覚えておくこと。
　以上、自己紹介終わり。
　とこんなふうに、日向まさみちはとっても素敵な青年です。今後ともヨロシク。
　では、最後に真面目なメッセージを。
　受賞してうれしい気持ちより、最初は正直怖かったです。でも俺は、他の応募者の皆様に恥ずかしくないよう、常に前へ進みます。そう覚悟しました。がんばります。そして、いつかお会いしましょう。
　
　選考委員の方々、助けてくれた友人や家族たち、ほんの一瞬でもどこかで関わっていた全ての人へ、本当にありがとうございました。