受賞の言葉
遠坂八重
このたびはボイルドエッグズ新人賞をいただきありがとうございます。
夢へのスタートラインに立てたことをたいへん嬉しく思います。
大学時代に小説家を志し、新人賞にも応募しましたがうまくゆかず、就職してからは仕事をこなすのがやっとで書くことからは遠ざかっていました。
それでも、いつか小説家になりたいという想いが消えることはありませんでした。
転機がおとずれたのは、二年前の夏。
夢見るだけで何もしないまま時が過ぎ、いつの間にか憧れている作家さんたちのデビュー年齢を軒並み追い越していることに気づいて、急に焦りが生じました。
コロナ禍でステイホームの時間が増えたこともあって、ようやくまた小説を書きはじめました。
この二年間は何を書いても落選続きで日の目が見えずとても苦しかったですが、結果的にこうして受賞することができたので、あきらめないで本当によかったです。
読者の方が日常のあれこれをぜんぶ忘れて物語の世界に没頭できる——そんな小説が書けるように、これから努力を重ねてまいります。
皆さまご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
遠坂八重(とおさか・やえ):
1993年11月15日生まれ。神奈川県出身。早稲田大学文学部卒業。現在会社員。『ドールハウスの惨劇』で第25回ボイルドエッグズ新人賞を受賞。