第３回ボイルドエッグズ新人賞

受賞の言葉

将吉

　皆さんはじめまして、将吉です。「まさきち」でも「しょうよし」でもなく、「しょうきち」と読みます。お見知りおきを。
　さて今回は喜ばしいことに、第３回ボイルドエッグズ新人賞を受賞させていただいたわけですが、『コスチューム！』はタイトル通り、コスプレがお話に関わってきます。
　ある日のこと。
　コスプレを作品の題材にしようと考えた僕は、愛用の星型サングラスを装着すると、コスプレイベントの会場に取材にむかいました。会場ではコスプレイヤーさんたちのまわりで、カメラのフラッシュが咲き乱れています。と、ご両親に連れてこられたのでしょう、かわいらしいコスプレに身を包んだ小さな男の子が走ってくると、僕にぶつかって転んでしまいました。目に涙をいっぱいに貯めた男の子を放ってはおけず、僕はその子を介抱します。すると男の子はゆうやくん（小学二年生）と名乗ります。そして、聞いてもいないのに、クラスのとなりの席のひろみちゃんに対する淡い恋心を語り始めたのでした。――が、話を聞いてみると、どうも様子がおかしい。「ひろみちゃんと僕は前世からの絆でつながっている」と、舌ったらずに香ばしい主張を始めるゆうやくん。僕は思わず、「お母さん、少し英才教育が過ぎるんじゃないですか」と、生暖かい気持ちでいっぱいになってしまいます。そんな男の子との出会いから、この作品は生まれました。
　……というのはもちろん嘘で、『コスチューム！』はコスプレイヤーの女の子のお話です。
　さて最後に。
　この作品は、今まで僕に関わってくれた方々がいなければ、書くことができなかったと思います。励ましてくれた人。応援してくれた人。いつも声をかけてくれた人。きっと成功するといってくれた人。きっと駄目だよと言ってくれた人。叱咤激励してくれた人。ぶん殴ってくれた人。全ての人々に感謝を。既存のどの作家でもない、「将吉」めざしてがんばります。今回はありがとうございました。