竜になれ、馬になれ
尾﨑英子
光文社/2019年12月刊
定価・本体1700円+税
こっちにおいで。大丈夫だよ。
小学6年生の橘玻璃(タチバナハル)は、少し前から小児脱毛症を患っている。慣れないウィッグはかゆみと違和感、友人にバレるのではという不安でいっぱいだ。そんな矢先、将棋部に属するハルは「Hu・cafe」という将棋の指せるカフェを近所で見つけ、店主の夕子さんの人柄に惹かれるようになる。女流棋士として活躍していた夕子さんは、わけあって引退し、カフェを開いたというのだが……大人への階段を上り始めた少女が、将棋と向き合い、悩みや苦しみを受け止めてゆくさまをみずみずしい筆致で描く成長小説。
古事記神話入門
三浦佑之
文春文庫/2019年11月刊
定価・本体740円+税
この一冊で古事記神話のすべてがわかる!
イザナキ、イザナミの国生みから、高天の原を混乱に陥れたアマテラスとスサノヲの諍い、国譲りをするオホクニヌシ、初代天皇イハレビコの誕生まで、日本人なら一度は読んでおきたい日本の始まりの物語が「あらすじ」と「解説」でわかりやすく、より深く理解できる。初代天皇からの系図や、2020年に編纂1300年を迎える『日本書紀』との比較も掲載。ベストセラー『口語訳古事記』(文藝春秋/文春文庫)の著者による古事記入門の決定版。
シャガクに訊け!
大石大
光文社/2019年10月刊
定価・本体1600円+税
その悩み、社会学が解決します!
社会学部一人気のない「上庭ゼミ」に入った松岡えみるは、上庭先生の学生相談室の補佐をすることに。サークル内の友人関係に悩んでいるえみるは、学生たちの人間関係の悩みに親身に耳を傾ける。上庭先生は評判とは違い、社会学の知識をもって思いもよらぬ解釈をみせ、えみるはすっかり社会学の虜になるが——?! コミュ障で根暗な社会心理学講師と、おひとよしで責任感の強い女子大生コンビによる、人生相談室、開幕! 楽しくってためになる、まったく新しい青春×ミステリーの誕生!
第22回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。
行きたくない
阿川せんり/奥田亜希子/加藤シゲアキ/小嶋陽太郎/住野よる/渡辺優
角川文庫/2019年6月刊
定価・本体600円+税
最旬作家たちによる全編書き下ろし!
恋人との別れ話を見ていて——幼馴染に頼まれた僕に訪れた出会い(「ポケット」加藤シゲアキ)。私の家に毎夜知らない「友達」がやってくる。ある時から、同じ人が何度も現れるようになり(「コンピレーション」住野よる)。気分がのらない朝。ぜんぶ放り出したい瞬間。誰だって「行きたくない」時がある。そんな所在なさにそっと寄り添う、一瞬のきらめきを切り取った旬の作家6名による文庫書き下ろしアンソロジー。
小嶋陽太郎作品は「シャイセ」。
探偵はぼっちじゃない
坪田侑也
KADOKAWA/2019年3月刊
定価・本体1600円+税
15歳、小説で世界の謎を解く。
緑川は中学三年生。受験生なりに楽しく学校生活を謳歌していたが、心の底では満たされていなかった。そんなとき、謎めいた同級生・星野が声をかけてきた。「一緒に探偵小説を書こう」。一方、新任教師の原口は、理事長の息子という立場を持て余しながらも、よき教師であろうと日々奮闘していた。ある日、自殺サイトに自校の生徒が出入りしていることを知り、それが誰かを突き止めようとする……それぞれの屈託多き日々に降りかかった「謎」が出会ったとき、最高の物語が生まれる! 中3の若さと成熟——おそるべき才能の登場!
第21回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。
三国志博奕伝
渡辺仙州
文春文庫/2018年12月刊
定価・本体690円+税
三国志の英雄・豪傑とギャンブル対決!
三国時代の呉。歴史家の韋昭(いしょう)は巷での博奕(ばくち)の流行に悩んでいた。仕える皇太子・孫和(そんか)の友人で無類の博奕好きの蔡潁(さいえい)をいさめにきた博奕場で、韋昭は、館の主人・徐に博奕の才能「奕力(イーリー)」があると言われ、対決の場に引きずり出される。最初の相手はなんと呪術で甦った最強の武将・呂布だった! 次々と英雄・豪傑を甦らせ、博奕対決をしかける徐の目的とは? 抜群に面白い書き下ろし新感覚歴史エンターテインメント小説。
有村家のその日まで
尾﨑英子
光文社/2018年11月刊
定価・本体1700円+税
きれいな死などない。それはずかずかと上がり込んで、これでもかと暮らしをかき回し、奪う。ささやかで、真摯で、時に滑稽な、私たちの営みの姿がここにある。
——瀧波ユカリ

母が、間もなく死を迎える。自由奔放に生きてきた母は、乳がんを患い、余命数カ月。しかし、スピリチュアルに傾倒し、標準治療を「つまらないから」とやめ、「すごい乳酸菌」と拝み屋の力で乗り切ろうとする。娘たちや息子は、そんな母が母らしく最後のときを過ごせるよう奮闘するが……誰しもがいつかは迎える「家族との別れ」を、新鋭作家が祈りを込めて紡いだ感動作。ボイルドエッグズ新人賞受賞作家の書き下ろし長編第3作。
そしてぼくらは仲間になった
小嶋陽太郎/高森美由紀/福島直浩/虹山つるみ/向井湘吾
ポプラ社/2018年11月刊
定価・本体1400円+税
こんな三人組、あり!?
ズッコケ三人組シリーズ40周年記念企画!

男の子、女の子、ロボット……三人ってなんだかいい。二人がケンカしても、もう一人が「まあまあ」って言えるし、一人が困っていても、二人が助けてあげられる。一人は個人、二人だと親友で、三人なら仲間だ。仲間のなり方は千差万別、仲間の数だけいろいろ。どうしてぼくらは仲間になったのか。いろんな形の友情に、いま活躍中の作家5人が挑んだ、超胸熱書き下ろしアンソロジー。小嶋陽太郎の作品は「夏のはぐれもの」。
友情だねって感動してよ
小嶋陽太郎
新潮社/2018年9月刊
定価・本体1600円+税
熱いと温かいの真ん中くらいの何かが駆け抜けた。 ——後藤正文 (ASIAN KUNG-FU GENERATION)
奇跡なんて信じない。それでも、祈り続ける。新しい世界に踏み出すために——優等生で日和見主義の「僕」とガールフレンドの吉川、人形の〈はるちゃん〉と会話するクラスメイト・湯浅の一筋縄ではいかない友情関係を描いた表題作をはじめ、三人の男女が紡ぐ“あの頃”の全て。20代の著者が執念で描く、いま、そこに確かに存在する若者たちの情動と煌めきが詰まった、生傷だらけの全6篇。全能感と劣等感、倦怠と焦燥。それでも、誰かと分かり合いたくてもがいていた、この物語は、あの頃の僕たちへの賛歌だ。
別れ際にじゃあのなんて、悲しいこと言うなや
黒瀬陽
早川書房/2018年6月刊
定価・本体1400円+税
いまだに“中2”な君に捧げる——
よりによって一番さえんグループに入ってしもーた……1996年、広島。中2のぼくの焦りは、最高潮に達していた。地味すぎる“THE優等生”の祐介、豚骨ラーメンに目がない肥満体のTK、天然ボケで神社の息子ジョー、そして《エヴァ》で日本語を学んだタイ人・クルン。こいつらとつるんでいたら、チーマーにからまれるし、彼女もできん! ぼくらはそれぞれ「イケとる」ことをすると誓い合い、24時間テレビに募金、15キロのダイエットにチャレンジ、ダンディボイスの声優を目指すが……コムロとアムロの音楽が響きわたり、エヴァンゲリオンに心を鷲掴みにされたあの時代――ぼくらが世界を駆け抜けた、友情と青春のメモリー(SWEET 14 BLUES)!
第20回ボイルドエッグズ新人賞受賞作
くらげホテル
尾﨑英子
KADOKAWA/2018年5月刊
定価・本体1400円+税
静かに希望の光がさしてくるそんな新しい物語だった。——もたいまさこ
「ここに異次元の世界があるって、本当ですか」フィンランドのホテル・メデューサで出会った、日本から来た年齢も性別もばらばらな4人。人を殺してしまった男、何もかもうまくやれない女、妻に先立たれた男、子育てを終え第二の人生を始めた女。共通しているのは、「異次元」や「メデューサ/くらげ」といった言葉、そして、お菓子「くらげキャラメル」に導かれて、ということのようだった。さえざえと美しい森でスミレという女性が案内したのは……あなたは、異次元に行けるよと言われたら、行ってみますか? ちりばめられたユーモアとフィンランドの空気に心がすうっと楽になるサプリ小説。ボイルドエッグズ新人賞受賞作家、待望の第2作。
放課後ひとり同盟
小嶋陽太郎
集英社/2018年4月刊
定価・本体1500円+税
いま、ほんとうに、こんな本がほしかったんだ。
——金原瑞人

どんな人生を歩んでも、きっと誰か味方はいる。
「林ちゃん、なにか護身術習えば?」そう提案されるがままに、私はパルコの屋上にいる蹴り男に会いに行く。男は、空から降ってくる不幸を阻止するために、空に向かって蹴りを続けている――「空に飛び蹴り」。気になる人ができたかも。新学期、クラス替えした教室で、私は原田幹雄に出会う。クラスでひと際目立つ原田を意識する一方で、私はあることに悩んでいた――「怒る泣く笑う女子」。ほか「吠えるな」「ストーリーテラー」「僕とじょうぎとぐるぐると」の全5編。学校を舞台に、10代特有の初期衝動を描く、青春連作短編集。
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